≪ポルシェ ボクスター≫歴史から紐解く人気の秘密!ウリはお手軽?

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中古のポルシェで安く購入できると車というのが、ボクスターに対する私の率直なイメージでした。ポルシェの代名詞とも言えるRR(リアエンジンリアドライブ)のレイアウトにこそ価値があり、MRのボクスターには価値がないという、なんとも馬鹿な偏見を持っていたのです。しかし、自分が輸入車にも触れるようになり、認識は徐々に変わっていきました。今日ボクスターをもう一度見つめなおし、認識を改めたいと思います。

ポルシェ ボクスターとは

そもそも世のスポーツカーはRRではなくMRが主流です。これは前後重量配分の関係上車体の中心に重量物を配置させ車の挙動を安定させるという理由と、駆動輪に近い位置に重量物を配置することでよりトラクションを稼ぐという理由から、スポーツカーにはMRというレイアウトが適しているとされているからです。逆にRRはエンジンを後輪の真上に配置するためトラクションを稼ぐという面では非常に優れていますが、重量物を車体中央より後ろに配置せざるを得ないため、コーナリング時などの挙動を安定させることが難しく、RRレイアウトの自動車は2016年1月現在でほぼポルシェしか製造していません。ポルシェのみがRRというレイアウトにこだわり続け、グランドツーリングなスポーツカーを成立させている点が、ポルシェ=RRという図式を成立させているのです。

ポルシェ・ボクスターは水平対向6気筒エンジンをMRのレイアウトにマウントする2ドアオープンスポーツです。名前の由来は搭載される「ボクサー(水平対向)エンジン」とオープンを意味する「スピードスター」という単語を合わせた造語です。このボクスターは、ただMRにエンジンをマウントしているだけでなく、エンジンオイルパンをドライサンプ化しエンジンを限界まで車体下部にマウントすることで、非常に優れたハンドリングを実現している点が高く評価されている車です。1996年に発売を開始されてからは、その他に類を見ないハンドリングは世界でもトップクラスと評され、後に発売されるBMW・Z4やホンダ・S2000といった名だたる2ドアオープンスポーツに、大きな影響を与えたと言われています。

ポルシェ自慢の水平対向エンジンをドライサンプ化して、RRよりもスポーツカーに適したMRにレイアウトしている時点で、理屈だけなら911に代表されるRRレイアウトのポルシェよりもスポーツカーとして理にかなっていると言えます。エンジンこそ911よりも低出力な2,500cc206psという非力なエンジンを搭載し、ポルシェの入門者として位置づけられたボクスターですが、車としての完成度は不安定なRRではなくMRを選択しているボクスターおよびケイマンのほうが車として911などのシリーズより優れているという人も少なくありません。

ボクスターの歴史

986型

1993年に発表され、1996年にデリバリーが開始されたのがこの986型と呼ばれるボクスターです。
2,480cc206psとポルシェとしては非力とも思えるエンジンを搭載していますが、車中は1,250kgと軽量に作られており、ドライサンプ化したMRのエンジンレイアウトからくる絶妙なハンドリングも相まって、非常に優れたコーナリングマシンとなっています。エンジンレイアウトこそMRですが、必要十分なパワーで車を操る楽しみを堪能できる2シーターオープンスポーツというキャラクターは、マツダ・ロードスターに類似した思想を感じるのは私だけでしょうか?

987型へフルモデルチェンジがなされる前年の2003年には、ボクスターS 550スパイダーエディションというポルシェ50周年記念モデルがリリースされました。このモデルは3,179cc266psにまでエンジン出力が高められている他、19インチアルミホイールの装着やブレーキの強化といった専用チューニングが多数されており、986型のボクスターとしては最も出力が高められたモデルになります。

スペック(ボクスター)

ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:2名
型式:E-986K
全長×全幅×全高:4,315×1,780×1,290mm
ホイールベース:2,415mm
車両重量:1,300kg

エンジン・燃料系
最高出力:204ps(150kW)/6,000rpm
最大トルク:25.0kg・m(245N・m)/4,500rpm
種類:水冷水平対向6気筒
総排気量:2,480cc
内径×行程:93.0mm×84.0mm
圧縮比:11.0
過給機:なし
燃料供給装置:DME
燃料タンク容量:58リットル
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

足回り系
ステアリング形式 :パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン・ストラット・アクスル
サスペンション形式(後):マクファーソン・ストラット・アクスル
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前):205/55 ZR 16
タイヤサイズ(後):225/50 ZR 16
最小回転半径:5.5m

駆動系
駆動方式:MR(ミッドシップ)
トランスミッション:5AT

987型

2004年にパリサロンにて発表されたのが、987型ボクスターです。997と平行して開発が進められ、ボディを構成するパーツの半数以上を997と共有しています。そのため、フェイスをぱっと見たときの印象派997と全く同じで、その後ボディラインを見た段階でケイマンもしくはボクスターと判断できます。先代の986型ボクスターと比較してボディサイズ・車体剛性・エンジン出力・インチサイズと、コンセプトをキープしつつ全体的な性能が向上されています。
2012年にボクスターS ブラックエディションが発売されるまで、マイナーチェンジ毎に性能がどんどん引き上げられていったのは、986型ボクスターと同じです。最終モデルどなったボクスターS ブラックエディションでは最高出力は320psと986型ボクスターの初期型と比べて114psものパワーアップが果たされています。このブラックエディションは、マツダ・ロードスターと比較できる車ではもはやなくなっています。MRのハンドリングを誰もが楽しめるスポーツカーというよりは、320psの高出力をMRで操るピュアスポーツカーに近いものへと変化しています。

スペック(ボクスターS ブラックエディション)

ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:2名
型式:ABA-987MA121
全長×全幅×全高:4,340×1,800×,295mm
ホイールベース:2,415mm
車両重量:1,390kg

エンジン・燃料系
最高出力:320ps(235kW)/7,200rpm
最大トルク:36.7kg・m(370N・m)/4,750rpm
種類:水平対向6気筒24バルブ
総排気量:3,436cc
圧縮比:12.5
過給機:なし
燃料供給装置:Bosch ME7.8
燃料タンク容量:64リットル
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン

足回り系
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソンストラット
サスペンション形式(後):マクファーソンストラット
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前):235/35 ZR 19
タイヤサイズ(後):265/35 ZR 19
最小回転半径:5.2m

駆動系
駆動方式:MR(ミッドシップ)
トランスミッション:6MT

981型

2013年にボクスターは981型へとフルモデルチェンジします。このモデルでもパーツの多くを911と共有しており、フェイスの印象が似通っているのも前モデルと変わりません。アルミシャシーを採用し987型に比べて35kgの軽量化を果たすとともに、剛性アップも果たしています。トレッドを拡大すると共に全高を下げて、全長はより長く延長され、全体的にワイドアンドローなスタイルへと舵を切りつつ車体を拡大し居住性を高め、軽量化と出力アップも図るという、スポーツカーとして至極全うな進化を非常に高いレベルで成し遂げています。このモデルからアイドリングストップといった省燃費技術も導入されており、世界的な省燃費のニーズにポルシェもこたえる必要があることが窺えます。

2015年にはボクスター スパイダーのデリバリーが始まりました。このモデルはケイマンSに搭載される3.8Lエンジンを逆のレイアウトに搭載するモデルです。非常にスポーツ性を意識して製作されていて、6MTのみの設定に電子制御ダンパーの設定もなく、幌の開閉も軽量化のため非自動化されています。
サスペンションを初めとした足回りにも手が入っているこのモデルでは、ボクスターは2シーターオープンを採用するMRのピュアスポーツカーへと進化を果たしたと言っても過言ではない内容へと進化しています。

スペック(GTS) 

ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:2名
型式:ABA-981MA123
全長×全幅×全高:4,404×1,801×1,273mm
ホイールベース:2475mm

エンジン・燃料系
最高出力:330ps(243kW)/6,700rpm
最大トルク:37.7kg・m(370N・m)/4,500~5,800rpm
種類:水平対向6気筒
総排気量:3,436cc
圧縮比:12.5
過給機:なし
燃料タンク容量:64リットル
使用燃料:鉛プレミアムガソリン

足回り系
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン ストラット
サスペンション形式(後):マクファーソン ストラット
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前):235/35 ZR20
タイヤサイズ(後):265/35 ZR20

駆動系
駆動方式:MR(ミッドシップ)
トランスミッション:6MT

718型

ボクスターはこれまでケイマンの下位機種という位置づけだったが、この718型からは立場が逆転し、ボクスターがケイマンの上位モデルとなる予定です。
この718という名前はポルシェにとって非常に重要な意味を持っています。718という車が始めて現れたのは1957年、それまで多数のレースで活躍していたポルシェ550スパイダーの後継機として発表されたMRのレースカーでとして姿を現しました。発表されてから718は数々のレースで輝かしい戦績を上げて活躍し、以降718という名前はポルシェにおいてレース直径のピュアスポーツとして、今でもポルシェの車作りに大きな影響を残しています。
初代ボクスターとなる986型もこの718にデザイン上で大きな影響を与えたといわれており、MRというエンジンレイアウト上の共通点からも、元々ボクスターという車には718という車が意識され、開発されたのではないかと思われます。
そして、ついに718という名を冠することになった2016年式ボクスターを見ると、明らかに718を意識したワイドアンドローなエクステリアが与えられています。エンジン自体は2.5Lと2.7Lというポルシェにしては小さめなエンジンのラインナップになるようですが、そこは718の名を冠するボクスターです。それは素晴らしいスポーツカーになることでしょう。

ボクスターは最もお手ごろなポルシェ?

918型ボクスターは現行モデルということもあり中古車は500万円台からと高額になってしまいます。2013年からデリバリーされた関係上市場での流通量が少ないためこれは仕方ありません。しかし、987型になると流通量が確保されているため200万円台から探すことが可能になります。ただ、固体毎に価格のばらつき大きく、200万円から500万円台と幅が広いため、目利きが聞かないと割安もしくは妥当な金額の玉を捜すのに骨が折れることになりそうです。
やはりここは、986型ボクスターでしょう。最低100万円台から探すことができ玉数も豊富です。987型と違って個体差による価格のバラツキが少なく、相場自体が100万円台から200万円台で安定しているため、予算と車選びの時間さえ作ることができるなら、安心して玉を選ぶことができると思われます。
100万円台でS2000がお手本にしたハンドリングを味わえるのなら、非常に安い買い物だと言えるでしょう。一度ジムカーナで986型ボクスターを見かけたことがありましたが、Sタイヤを装着しているとはいえ、ランエボやインプッレッサがひしめく中で優勝しておられました。2016年1月現在のリンクを張っておきますので、参考にしてみて下さい。


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まとめ

2016年に718型へとフルモデルチェンジをするボクスターは、ケイマンより上位の機種となることで、718型以来のMRピュアスポーツカーとして本格的に舵を切ることの現われなのだと思います。718型以前のボクスターは911由来の技術が惜しみなく投入されているものの、クローズドボディのケイマンより下位機種であり、どこかハンドリングを楽しむことに主観をおいた、スポーツを楽しむ車だったように感じます。しかし、3回のフルモデルチェンジでより大きく速く進化していく過程を見ていると、より高性能で、よりピュアなスポーツ性を備えたボクスターを待ち望む声が少なくなかったのではないかと思えます。その結果718という名を受けついたボクスター、実際にどんな形で市場に受け入れられていくのか、今後も目が離せそうにありません。

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